OREAD Diary September 1〜September 30


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September 30, Friday 2005

11月の初めにリリースが予定されている George Harrison &  Friends--Concert for Bangladesh の音源が送られてきた。disc two の3曲目、ディランの A Hard Rain's A-Gonna Fall から聞き始めた。リマスターされて音が格段によくなっている。5曲目は「風に吹かれて」。ディランは同じ歌を同じに歌うことはないが、このヴァージョンの friend と wind のこぶしを回すような(力づくで韻を踏ませようとするような)歌い方が好きだ。

久々に Dr. Tsuchiya と Dr. Kurihara の classical music freaks がやってきた。持参されたCDのうち何枚かを聞く。The Jacques Lousssier Trio (ジャック・ルーシエ・トリオ) の Best of Play Bach。Alexis Weissenberg の J. S. Bach Famous Piano Works。それに Geminiani と Wagner。彼らのおかげで、解説つきでクラシック音楽に親しむことができる。ありがたいことだ。

今日聞いたことばの中で、Dr. Kurihara が言った「人は誰も神からある一定の時間を与えられている」という言葉が印象的だった。「それは人間もカブトムシもかわらない」という言葉とともに。

長島功さんを中心とした器楽クラブ(aka 乳頭クラブ)の面々もやってきた。乳頭クラブとは穏やかでないとおもったら、乳頭温泉へ一緒に行く会だとか。

芦部さんより、明日の飛び入りライブに BONOBO が練習後参加し、3曲ほど歌いたいと電話があった。久しぶりだ。


September 29, Thursday 2005

7時過ぎ、英語教室が始まる前、オーリアッドに入ると、一番テーブルに見かけない人がすわっている。下を向いてなにやら熱心に書いている。よく見ると藤原和義さんだ。今度の土曜日の飛び入りライブで一緒に演奏する酒井さんとの打ち合わせに、伊那へ行く途中だという。土曜日が楽しみだ。藤原さんから「オーリアッド・バンドの歌」をリクエストされた。土曜日に歌ってみようか。

教室が終っておりてくると、4番テーブルに、穂高のレンタサイクルショップ「ひつじ屋」の高橋博さん。「ひつじ屋」に置いていただいている『碌山』の残りが少なくなったとのことで、わざわざとりにきてくれたのだ。感謝。同時に『千の風』『追憶の60年代カリフォルニア』も置いていただくことになった。

碌山美術館、そして「ひつじ屋」のある穂高町は、明後日の10月1日から、明科町、豊科町、堀金村、三郷村と合併して、安曇野市になる。合併するとわけのわからない名前がつけられることが多いが、安曇野市というのはいい。美しい響きだ。


September 28, Wednesday 2005

少し遅れて店に入る。カウンターにはすでにお客さん。前々回の飛び入りライブで「但願人長久」を歌った伊藤貴司さんだ。聞くところによると6年前一年間雲南省の雲南大学に留学していたとのこと。

雲南省はベトナムに近く、文化的にも気候的にも南アジアに近いらしい。自然が豊かで少数民族も多いとか。北京の中央政府の指令も届きづらいのか、かなりのびのびとした雰囲気の地域らしい。一度訪ねてみたいところだ。

今晩はいつもと逆で、前半が少し忙しかった。熱燗の注文があった。今までメニューに清酒が入っていなかったが、これから寒くなると熱燗もいいかもしれない。

後半、City of New Orleans の練習。洪水とは関係ない歌だが、ハリケーン・カトリーナ以来、よく思い出す歌。今度の飛び入りライブで歌ってみようか。

  Night time on the City of New Orleans
  Changing cars in Memphis, Tennessee
  Halfway home and we'll be there by morning
  Through the Mississippi darkness rolling down to the sea


September 25, Sunday 2005

拾得のテリーの blog に面白いサイトが紹介されていた。最後のオチは案外陳腐だが、そこまで行く過程が実に面白い。興味のある人は次の矢印をクリック。


September 24, Saturday 2005

中島雑貨店、甕&八子(モタイ&ヤコ)ユニットを迎えての飛び入りライブ。とてもいい夜になった。

7時少し過ぎ、1st round として中島雑貨店にお願いする。Star of County Dawn, Sally Garden など。中島裕志さんのオートハープを中心にTOM石川さんのギター、それに筒井倖人さんの様々な鳴り物が入ったインストラメンタル。オートハープとギターの優しい音の合間に、鳥の鳴き声や、川のせせらぎが聞こえてくる。森や川のほとりにいるようだ。一曲だけ、中島さんが歌った。オートハープと中島さんの声が見事にマッチしていた。




次にTOM石川さんがソロで数曲。一曲目のハワイアン風の歌が印象に残った。残念なことに、石川さんが歌った歌の曲名を聞くのを忘れてしまった。次に赤羽孝昌さんが金子みすずの「「私と小鳥と鈴と」を歌う。今日は見事に決まって、盛大な拍手。

 

次に登場は八子ひろえさんと甕綾子さん。八子さんのアコーディオンと甕さんのアイリッシュハープのユニット。Skyboat Song, Ye Banks And Braes を含む4曲。ハープとアコーディオンの音色が見事にブレンドされて、心地よい。彼らの後、駒ヶ根在住の松田めぐみさんがアイリッシュハープのソロで I Love My Love in the Morningを演奏する。力強いきれいな音色。



中山昭さんは「土曜の夜だっていうのに」「Fishing Blues」「風」「穴」の4曲。2曲目は昨夜ぼくが中村東茂一さんと悪戦苦闘した曲。中山さんはそれを軽々と弾き、歌ってしまった。高田渡の作品だという「風」もよかった。「穴」はボブ鈴木が歌う歌と同じタイトルだが、中山さんのオリジナルで、もう少し格調高い。



次に先週に引き続き小沢順子さんが大正琴で「津軽じょんがら節」。藤原和義さんが友人に聞かせたいと小沢さんに連絡を取ったらしい。拍手喝采。もう一曲は「天国と地獄」。運動会によくかかる曲。続いて藤原さんが「カントリーワルツ」と、先週歌うことを約束したのでと、律儀に「バラライカ」。しずかにしっとりと、丁寧に歌う藤原さんの歌い方から、学ぶところは多い。



ここで今夜のメインフィーチャー、「甕&八子ユニット」に再度お願いする。Bridget Cruise, John O'Conner など4曲。哀愁を帯びたアイリッシュサウンドを堪能した。 



次に久々登場のWISHの二人。先ず、松沢美由紀さんのピアノソロ。プーランクという人が作曲した「エディット・ピアフ讃」(Hommage to Edith Piaf)。見事な演奏。次に芦部清志さんが「林檎」を歌う。思えば、2年前彼が初めてオーリアッドで歌ったときの最初の歌がこの歌だった。最後に二人で「風のINITIALIZATION」。



最後は、もうひとつのメインフィーチャー、「中島雑貨店」にお願いする。Victory Rag, Funny Power, Rights of Man そして、「甕&八子ユニット」も加わってアイリッシュ・ミュージックの定番「シーベック・シーモア」。素晴らしかった。下の真ん中の写真で、TOM石川さんが弾いている楽器は、ブズーキ (bouzouki) と呼ばれるギリシャの楽器とのこと。マンドリンのようにも見えるが、ネックはバンジョーのように長い。



その後しばし歓談。家に帰ると、「アイリッシュ音楽、穏やで癒されました。素晴らしい演奏でした」というメールが届いていた。


September 23, Friday 2005

一昨日、北條楽器へ長島功さんに勧められたカスタムライトという弦を買いに行った。ついでに、「ブルースギターの常套句2」というDVDを買ってきた。附属の楽譜の一曲目 Fishing と悪戦苦闘しているところへ森林仕事人中村さん。彼が今日帽子掛けにかけた帽子はこげ茶色の皮の帽子。

彼ににその楽譜の弾き方を教わろうとしたが、クラシックギタリストの彼にも、ブルーズの楽譜は初見では難しそう。中村さんが「山頭火」のコードを知りたいというので、「山頭火」と「俺のいない町」の歌詞とコードを書いて、しばらく一緒に歌う。彼は「俺のいない町」の舎利礼文のところが気に入っているようである。

明日の飛び入りライブは、アイリッシュ音楽の楽器をはじめ、いろんな楽器の演奏が楽しめそう。

[4倍速非対応のDVD-R/RWレコーダーで4倍速メディア対策を施してない一部機種にこのディスクを使用すると、機器の不備により機器およびディスクを破損する恐れがあります]

という表記を見たときは後の祭り。昨夜(23日)からコンピュータにDVD-Rが入ったまま出てこなくなり、強制シャットダウンをしたら、今朝は起動もしなくなってしまった。午前中(24日)、何回か試行錯誤を繰り返し、今ようやく回復。コンピュータはややこしい。


September 22, Thursday 2005

久々にジュディ・コリンズのディランをカバーしたアルバム Judy Sings Dylan を聞く。もう何年も前英五君から届いたハガキに、このアルバムをずっと聞いていると書いてあったことを思い出した。Like a Rolling Stone, Just Like a Woman のようなよく知られた曲もいいが、ぼくが気に入ったのは Dark Eyes や I Believe in You のようなディランの歌としてはそれほど知られていない歌。Dark Eyes は Empire Burlesque で最初に聞いたときから好きになった歌だ。

先日穂高駅前の「ひつじ屋」で購入した『臼井吉見の「安曇野」を歩く』(郷土出版社)の最初の方を読んだ。今まで知らなかった碌山の側面が随所に記されていて興味は尽きなかった。特に、彼がニューヨークで学んでいるとき、望郷の念にかられて書いた師・井口喜源治宛ての手紙の一節は、身につまされる。

  ああ無趣味なる今の生活、アアいやだいやだ。再び故郷に帰りて
  出京以前の生活に帰り、朝に麦を耕し、夕に(中略)文庫に隠れ、
  万水(よろずい)に漁し、城山に遊び、さらば塾の一助も出来ん
  かなどと空想す。

昼は畑を耕し、夜は本を読み、時には万水川で魚をとったり、城山に出かけたり、そして井口喜源治の研成義塾の手伝いをしながら生きられたらどんなにいいだろうか、というのである。碌山とぼく自身を比べることは不遜だと百も承知だが、ぼくも彼と同じような思いを抱いていたことがある。60年代後半のサンタバーバラでの生活はエキサイティングではあったが、時には「ああ無趣味なる今の生活」という思いに駆られることもあった。

ブラジル出身の日系人で、日本語も英語も分からないという人に「ゲンマイとは何ですか」と聞かれて説明に困った。実際に玄米を見せ、白米よりも硬いが栄養があるということを何とか分かってもらえた。玄米野菜ピラフのオーダー。

『臼井吉見の「安曇野」を歩く』は松本の市民タイムスのサイトで最初から読むことができます。http://www.shimintimes.co.jp/aruku/index.html


September 21, Wednesday 2005

今晩はジミー・ロジャーズのトリビュート盤 The Songs of Jimmie Rogers を聞いた。ディラン、ボノ、ジェリー・ガルシア、メレンキャンプ、ヴァン・モリソンなどが歌っている。ブルーズも何曲かあった。一番気に入った歌は、メレンキャンプが歌う Gambling Bar Room Blues。ディランは My Blue Eyed Jane を歌っている。この歌を聞いて、ディランが歌う Spanish Is a Loving Tongue を思い出した。

遅くなって長島功さん。前から話しがあった落語会の話しをもってきた。12月にオーリアッドで「桂九雀独演会」を開くことになるかもしれない。九雀さんはクラリネットも吹くというので、落語だけでなく、クラリネットの演奏もお願いしたら、オーリアッドでやる意味があるかもしれない。問題は日程が合うかどうか。12月は前半少し留守をし、14日にはマンダラ2でのライブがある。



September 17, Saturday 2005

山梨県から「まなびん&はるみん」を迎えて、また何人かの初登場の人もいて、素晴らしい飛び入りライブになった。

6時直後、彼らが笑顔でやってきた。30代前半のフレンドリーな若いカップル(夫婦)である。午後早く辰野に着き、湯にーくセンターで温泉に入り、駅の近くの旅館にチェックインし、歩いてきたとのこと。しばらく休憩したあとサウンドチェック。ギターとウクレレという珍しい編成。両方ともラインでとりたいとのことだったが、ウクレレの音はマイクでとることに。そのほうが音がいいように思えた。

いつものように最初は聴衆も歌い手も少なく、ぼくが数曲歌う。先ず、彼らがオーリアッドの壁に貼ってあるディランのポスターや写真に興味を示し、アルバムもいくつかもっているというので、「明日は遠く」を歌う。次に、明日は安曇野で一泊するというので、レンタサイクルの「ひつじ屋」と碌山美術館に立ち寄ることを勧め、「碌山」を歌う。最後に「千の風」。

次に、1st round として彼らに歌ってもらうことに。このときまでに、今月初めに河口湖のコンサートで彼らと知り合ったという伊那の伊藤貴司さんと彼の友人、小沢順子さんも到着していた。小野の森林仕事人、自然農法家の二人もかけつけてくれた。「春のページ」「「大海原」など4曲。明るくさわやかなボーカルと軽快なサウンド。奥さんのはるみさんのハーモニカが時々入る。彼らの歌が終るころには、聴衆も徐々に増え始めた。




伊藤さんも歌うと聞いていたので、演奏をお願いすると、小沢さんが大正琴を弾くという。ギターとウクレレに続いて、ギターと大正琴という珍しい組み合わせ。「アメージング・グレース」。ボーカルは英語で小沢さん。それで終わりというので、もう一曲何かとお願いすると、小沢さんがソロで演奏するという。何と、「津軽じょんがら節」!。これが素晴らしかった。今夜のハイライトのひとつ。小沢さんの迫力ある気合とともに、大正琴とは思えない力強い演奏。最後に、伊藤さんがソロで中国語で歌う。テレサ・テンの歌だという。「但願人長久」。



この頃までに、運動会の慰労会を終えた人たちが何人か入ってくる。今日は全県的に小学校の運動会があったようだ。長谷村の山田守人さんからも電話があり、これから行くとのこと。彼もまた運動会の慰労会が終ったところらしい。ここで大月高志さんにお願いする。ギターで歌いますか、ピアノにしますかと聞くと、ピアノにするとのこと。いつもの「カノン」。大きな拍手。何度か補充された「香月!」のMDは最後の一枚が残っていたが、今晩完売した。



次に赤羽真理さん。「森の小道」と「千両梨の実」。「農園の一角に珍しい梨の木がある〜」ということばで始まる「千両梨の実」。いつ聞いてもいい歌だ。赤羽さんには是非この歌に続く歌を書いてもらいたいものである。



続いて登場は土曜日3回連続参加の藤原和義さん。初回は、「ぼくは歌は歌いません」ということばにすっかりだまされて、歌ってもらえなかった。2回目は、彼が、かの「バラライカ」の作者だと知って、その曲のみ、拝み倒して歌ってもらった。今夜は自分のギター持参で、3曲歌ってもらえた。先ず、彼自身で昨夜訳を考えたという「テネシー・ワルツ」。そして「教えてくれ僕の歌を」と「愛する人のために」。どの歌もよかったが、特に最後の歌がよかった。60年前、私たちは世界に向けて戦争を放棄する、武力で紛争を解決しないと誓ったではないか、という主旨の言葉が印象に残った。彼のギターは Taylor。ひがしの(ひとし)君も同じギターだったと思う。藤原さんはひがしの君とは面識はないらしいが、ひがしの君と藤原さんには共通項がある。シャンソンである。彼らは歌うとき決して力まない。



ここで再度、今夜のメインフィーチャー「まなびん&はるみん」にお願いする。「旅人」「口笛」「日はまた昇る」などの4曲。彼らの演奏は 2nd round のほうが圧倒的によかった。盛大な拍手。「旅人」の一節:

  旅人よ、気まぐれに流れてゆく
  ならず者のわずかな夢を求めて
  背中合わせの鼓動を感じている
  光りと陰の現実をちりばめて



二人のおみやげの甲州ぶどうをいただいた後、山田守人さんにお願いする。「It's Not Spotlight」「Let Good Times Roll」、そして「私の青空」。ギターもさることながら彼のヴォーカリストとして力量には驚かされる。いつものことではあるが。



その後、しばし歓談。山田さんにブルーズギターの基礎を教えてもらおうとしたが、彼の早業はぼくには一生かかっても無理だろう。山田さんと一緒にやってきた中山さん、そして遅れてきた長島功さんも含めてギター談義。彼らにギターをもたせるのは、猫にマタタビを与えるようなもの。オーリアッドを出たのは12時を過ぎていた。いい夜だった。


September 16, Friday 2005

昼ごろ家を出て穂高町へ。まず穂高駅前のレンタサイクル店へ。ひつじ屋特製のパンとコーヒーをいただきながら高橋さんと話す。ひつじ屋でのコンサートの話題も出たが、レンタサイクルの仕事が一段落したあとの日曜日の夜というだけで、まだ日は確定していない。書架にあった『臼井吉見の「安曇野」を歩く・上』(郷土出版社)を購入。著者は市民タイムスの記者で、辰野町在住の赤羽康男さん。時々ひつじ屋へ立ち寄るようである。

その後、碌山美術館へ。駐車場に車を止めると、駐車場の一角にある建物で彫塑の講習会が行われていた。近づくと、二代前の碌山美術館館長の柳沢廣先生が指導しているのが見えた。更に近づくと、先生はぼくに気づき、建物の外に出てこられた。しばらく立ち話。お元気そうで何より。

美術館はそれほど混んでいなかった。久しぶりにゆっくりと見てまわる。本館の入り口を入ると、正面の壁に、碌山の有名な言葉が彫られている。LOVE IS ART. STRUGGLE IS BEAUTY. それをカメラに収める。ここまではカメラが許されるが、建物の中は撮影禁止。碌山美術館は建物とその中の作品が素晴らしいが、同時に庭もいい。日本庭園は眺める庭が多いが、西洋の庭は、その中を散策し楽しむ庭が多い。碌山美術館の庭は眺める庭ではなく、その中で楽しむ庭である。碌山美術館は、建物と庭が不即不離。どちらか一方だけではその魅力は半減する。

美術館のミュージアムショップに『千の風』と『碌山』を置いてもらっている。『千の風』は5枚完売していた。更に5枚置いていただく。『碌山』は35枚売れていた。けっこう若い人たちが買っていってくれたようだ。ありがたいことである。

美術館をあとにし、大型農道を通って帰ることにする。5月にコンサートを開いた市民タイムスの山光ホールが見えた。しばらく行くと堀金村に入った。「臼井吉見文学館」の標識。ちょっと見学しようと、車を止めた。文学館の入り口に行くと、受付には誰もいない。中の灯りもついていない。ドアベルがあり、その横に張り紙があった。「ベルを押して3分ほど待って下さい」と書いてある。インスタントラーメンのできる長さだ。

見学者が少ないので受付をおかず、ベルが鳴ったら、役場かどこからか係りの者がやってくるのだろうと思った。3分たっても、6分たっても誰もやってこない。建物の前のベンチにすわって写真を撮って、帰ることにする。

7時半過ぎ、オーリアッドに入る。ディランの「コリーナ、コリーナ」を聞きながら、ギターの練習。ブルーズは難しい。

明日は飛び入りライブ。甲府から「まなびん&はるみん」というフォークデュオが歌いにきてくれることになっている。


September 15, Thursday 2005

稲の穂が出たら写真を撮りに行くと自然農法家の黒岩さんと約束をしていた。昨夜、稲の穂が出て、赤米がとてもきれいだと言うので、今朝写真を撮りにいってきた。

(a) (b) (c)

(a)車を止めると黒岩さんが遠くのほうで働いていた。しばらくしてぼくに気づくと大きく手を振った。(b)大きな鎌で土手の草を刈っている。(c)「立ち姿がとてもきれい。一日見ていても飽きない」と黒岩さんが言う赤米。確かに鮮やかな緑と赤っぽい穂のコントラストがきれいだ。

(d) (e)
(f)

(d)土手には野生の花も咲いている。(e)手前の稲は秋田小町とのこと。コシヒカリは海抜が高くてできないとか。(f)農場の一角にある〜大きな栗の木の下で〜。すわっている切り株は、森林仕事人・中村東茂一さんからもらったもの。「夏の盛りにはよくここへきて休んだもの」と黒岩さん。「<宝福寺にて>さながら、気持ちのいい風が吹いてきて、本当に極楽だと思いましたよ」。

稲のほかにも、様々な野菜を育てている。白菜などは、わが家の畑のものよりずっと元気。雑草の中で自然に育てているのに虫が食っていない。わが家の白菜は虫食いだらけ。

7時過ぎ、オーリアッドに入る。前半英語教室。後半、9時半過ぎ、8名の団体。その中に、10年前、農学部でぼくを知っていたという人がいた。彼にどういう集まりかと聞くと、自然農法研究会の南信地区のメンバーだという。黒岩さんを知っているか聞くと、知らないという。

帰り際、小沢尚子さんという方が、初期のオーリアッドによく来たことがあり、去年の大工さんのコンサートにも来たと言う。どこに住んでいるかと聞くと、小野だという。再度、黒岩さんを知っているかと聞く。「知ってますよ。彼に今のところを紹介したのは私です」。驚いた。 It's a small world.

彼等に、農学部出身で自然農法をしている川崎さんを知っているかと聞くと、口々に、川崎さんは有機農法で自然農法ではないという。有機農法と自然農法は同義語だと思っていたが、そうではないらしい。自然農法はオーガニックなものでも施肥はしないようだ。ただ刈った草をその場に寝かせておくだけ。

朝から晩まで、自然農法の一日だった。



September 14, Wednesday 2005

午後、今村公民館へ音楽療法士がくるといので、行ってきた。集まっていた人たちは、老人会主催とのことで、老人会の会長をはじめ年輩の方々およそ20人。会長を除いては全員女性である。

音楽療法に関しての講演かと思って行ったのだが、さながら懐メロ合唱大会といったところ。療法士が弾くキーボードに合わせて、黒板にマグネットでとめられた歌詞を見ながら、歌うのである。思い出すままに書いてみると、「カラスの赤ちゃん」「カラス」「赤とんぼ」「夕日」「あざみの歌」「同期の桜」「露営の歌」など。もっとたくさん歌ったが思い出せない。歌と歌の間に短いコメントが入る。そして、軍歌を除いては、どの曲も2回歌った。

歌の時間だけで1時間半。そのあと、みんなで太鼓をたたくというので、悪いと思ったが退散させてもらった。正直いって疲れた。歌に疲れたということもあるが、床に1時間半すわっていることに疲れた。今村公民館にもパイプ椅子が必要だ。

疲れはしたが、音楽療法(music therapy)に興味を抱いた。少し研究してみようか。

久々のオーリアッド。6時半に入る。しばらくして、時々寄ってくれる女性二人が入ってくる。ウォーキング・シューズをはいている。飲み物は、いつものココア。ほとんど毎日歩いているという。ぼくも見習わなければ。

ボブ・ディランの bootleg series vol. 7 の disc two を聞く。disc one はアコースティック中心であるが、two はバンド・ヴァージョンで、かの有名な1965年のニューポート・フォークフェスティバルでブーイングされたという Paul Butterfield Blues Band と一緒の Maggie's Farmが含まれている。Tomb Stone Blues, Just like Tom Thumb's Blues, Leopard-Skin Pill-Box Hat, Stuck Inside of Mobile with Memphis Blues Againなど、ブルーズがいっぱい。



September 10, Saturday 2005

飛び入りライブ。不思議な出会いの面白い夜だった。

最初にぼくが歌う。先週もお見えになっていたお客さんで、今日も来られた方が、碌山研究家の仁科惇さんをよく知っていると言う。そこで、ぼくが先ず「碌山」と「次郎」を歌う。「次郎」は久々に歌った。更に、御子柴さんという剣道の先生がご家族でお見えになったので、続けて「千の風」「カムサハムニダ、イ・スヒョン」を歌う。

話しているうちに仁科先生を知っているといったお客さんが藤原和義さんだということが分かった。ぼくは藤原さんが「バラライカ」という素晴らしい歌の作者だということを知っていた。以前にオーリアッドで、この歌を歌った人がいた。それで藤原さんにその歌を歌ってもらえないかとお願いした。しかし、最近歌ってないのでと丁重に断られた。

やむなく、その時までに到着していた赤羽真理さんにお願いする。「千両梨の実」「森の小道」「アメージング・グレース」の3曲。今日の「千両梨の実」はいつにも増して説得力があった。



赤羽さんが歌ったあと、再度、藤原さんに「バラライカ」を歌ってもらえないかとお願いする。何度か断られたが、しつこくお願いし、ようやく歌ってもらえることになった。繊細なギターに繊細な歌声。そして懐かしいメロディ。

  苦しい仕事に疲れ果てて
  帰って寝るだけ、そんな俺だけど
  バラライカ、バラライカ、バラライカ、バラライカ
  おまえをいつも夢に見る

彼の穏やかな歌声を聞きながら、心の中が静けさで満たされていくのを感じた。もう少し歌ってほしかったが、あまり無理にお願いしてもと思い、今晩は一曲だけということに。



次に剣道七段の公徳館館長の御子柴健二さんが、ぼくのギターで「ゴンドラの唄」を歌う。ぼくが京都から戻ってきたのとほぼ同じ頃、彼は東京から、つまり1982年春、辰野町へ戻ってきたようである。公徳館という剣道の道場については以前から聞いてはいたが、お会いするのは初めて。



その後、ぼくが、公民権運動に関心があるという藤原さんの話を受けて、Blowin' in the Wind と We Shall Overcome を歌う。さらに、何かビートルズを歌えないかという御子柴さんのリクエストに応えて、All My Loving と Let It Be を。

そのあと、赤羽さんが、「ホーボーの子守唄」「陽の当たるところへ」そして「離農の歌」。最後の歌は、北海道の森田正治という獣医師が書いた歌だと、藤原さんが教えてくれた。そうそう、藤原さんと赤羽さんは以前、歌を通しての知り合いで、今晩30年ぶりにオーリアッドで偶然再会したとのこと。

その後、11時過ぎまで歓談。



September 9, Friday 2005

ひとつの儀式ででもあるかのように、静かにドアを開けて中に入ると、大きな身体で仁王立ちし、店の中を一瞥。それからおもむろに、帽子掛けに帽子を掛ける人がいる。小野藤沢の森林仕事人、中村東茂一さんだ。その帽子が毎回のように違う。今晩の帽子は迷彩色のベースボールキャップ。

中村さんは最近、オーリアッドで演奏するブルーズ奏者のギターに魅かれ、ブルーズに興味をもち始めた。ぼくが「王城山に黄色い月がのぼり」をE7から始まる12小節に変えて歌うと、彼がギターで合わせる。彼はもともとクラシックギター奏者なので、ハイポジションで弾くのはお手のもの。ブルーズというのはセッションをするには実に便利で、そして楽しい音楽である。ブルーズということばの語源は楽しさからはかけ離れているが。

久々にポール・バターフィールド・ブルーズバンドの『East-West』を聞く。躍動感あふれる見事な演奏。このアルバムを最初に聞いたのは1967年のこと。UCSBのキャンパスブックストアで働いていたとき、ジョンという男(『追憶の60年代カリフォルニア』pp.73-74参照)から素晴らしいアルバムだといって紹介された。彼のアパートでこのアルバムを聞かされたとき、正直いってどこがいいのかわからなかった。ただやかましく感じただけ。

オーリアッドを再開してから何人ものブルーズ奏者と出会い、遅ればせながら、ブルーズの素晴らしさに、開眼しつつある。昨年、ロバート・ジョンソンをはじめ、様々なブルーズシンガーの作品を翻訳する機会を与えられたが、偶然とはいえ、そのことも、今のぼくのブルーズ熱と関係があるに違いない。

遅くなって大月さんと上島さん。香月!は明日は松本でライブがあるとのこと。


September 8, Thursday 2005

前半英語教室。9時過ぎオーリアッドに入ると丁度、ジブラーンの会の方々が出て行くところだった。「今日はどこを読みましたか」と聞くと、「<美について>です。難しかったです」とのことだった。

  美とは、ベールをとって聖なる顔を現した生命である。そして、あなた方
  は生命であり、また同時にベールでもある。美とは、鏡の中に自らをみつ
  めている永遠である。そして、あなた方は永遠であり、また同時に鏡でも
  ある。

確かに難しい。「美」について考えるとき、いつも思い出すのはディランが若いときにジョーン・バエズのアルバム(Joan Baez in Concert Part 2)に書いたライナーノートのことば。

  いいかい、唯一の美は醜い。ひび割れて、しゃがれて、ざらざらしたサウ
  ンド、それがぼくが理解する唯一の美。
    The only beauty's ugly, man. The crackin' shakin' breakin' sounds're
    the only beauty I understand.

禅に「橋が流れて、川は流れない」という主旨のことばがある。上記のジブラーンのことばにも、ディランのことばにも、禅的なものを感じる。美醜の二元を超えた「美」への言及。

後半、ギターの練習。「五年ぶりに会った友に捧げる歌」「流転の歌」など。


September 7, Wednesday 2005

台風14号は、幸い長野県を避けてくれた。午後少し風雨が強まったが、ほとんど問題なかった。ところが自然農法家の黒岩さんによれば、彼の田んぼの稲は八割方倒れてしまったとか。また太陽を浴びて立ち上がってくれるといいのだが。朝から何度も田んぼに出て疲れてたようだ。

長島功さんは、「浜田省吾のコンサートよかったですよ」といいながら入ってきた。7歳の息子さんもお父さんに肩車してもらって、拳を突き上げ、大いに楽しんだようだ。おそらく彼は小さいときからギターを弾き始めるのではないだろうか。

先日送られてきた、10月19日にソニーから発売されるジャクソン・ブラウンの solo acoustic, vol. 1 を聞く。久しぶりに聞く彼の歌声がなつかしい。70年代、For Everyman, Late for the Sky, The Pretender の3枚のLPレコードはよく聞いたものだ。



September 3, Saturday 2005

午後は、塩尻レザンホールでのコンサート、その後、男女共同参画に関してパネルディスカッションに参加。そして旧塩尻駅跡近くでの懇親会。7時過ぎ、少し遅れてオーリアッドに入る。すでにSTILLの安藤則男さんと伊藤享さんが到着していた。堀内さん、赤羽孝昌さんも。

まず最初に堀内さんにお願いする。「北帰行」「ともしび」「故郷の春」の3曲。そのあと、安藤さんが一人でディランの Percy's Song を日本語で歌う。しかし、注文したカレーが出来上がってきたので、とりあえずその一曲だけで、赤羽さんにお願いする。「私と小鳥と鈴と」、そして「黒の舟歌」をぼくの伴奏で。



その後、安藤さんとベースの伊藤さん。今晩はウッドベースである。9月24日(土)に松本のセレスタというバーで歌うとのこと。その練習を兼ねて、全曲、ボブ・ディランを日本語で歌うという試み。日本語の訳詞をそのまま歌うので、字数が多いところは早口になり、聞き取りづらい。しかし、見事にはまる歌もある。ディランファンには驚異的な試みである。North Country Blues, Mr. Tambourine Man, All I Really Want to Do, It's All Over Now, Baby Blue, Like a Rolling Stone, Times, They're A-Changing, Senor など。

ぼくが最もいいと思ったのは、It's All Over Now, Baby Blue。 訳詞もメロディに合い、ベースも見事にブレンドされていた。



ディランの曲が続いたのでぼくも歌いたくなり、安藤さんと伊藤さんにバックをお願いして「ボブ・ディランに捧げる歌」を歌う。さらに、「こおろぎが歌うように」と「流転の歌」も。「流転の歌」は「パーティーは終ったよ」とともに8月末からカラオケで配信されるようになったらしい。アーティストはあのねのね。「流転の歌」ではなく「流転の唄」と表記されている。



ここで一休み。セカンド・ラウンドでは、先ず、東京から帰省中の福井洋子さんがSTILLの演奏をバックに、自作の「子供の涙」という詩を朗読する。そして堀内夫妻が賛美歌を数曲、赤羽孝昌さんがぼくのギターで「友よ」を歌う。



その後、STILLが I Pity the Poor Immigrant などのディランの歌を日本語で数曲。その中に Dignity があった。ひょっとして「それはぼくの訳ではないですか」と聞くと、そうだと言う。どのアルバムに入っているのか忘れてしまった。安藤さんによると The Greatest Hits vol. 3 とのこと。調べてみると、そのアルバムは1994年にリリースされている。もう10年以上も前のこと。

最後は、遅くに来た大月高志さんとSTILLのセッション。それに伊藤さんとのベースと大月さんによる Yesterday など。



なお、STILLが9月24日に演奏する予定のセレスタというバーは、松本のあずき橋のたもとにあるとのこと。9月いっぱいで閉店するので、その記念コンサートらしい。



September 2, Friday 2005

明日のレザンホールでのコンサートの練習を少し。みんなで歌いたい歌の候補に「一人の手」というのがあった。ネットで検索し、歌詞を手に入れる。この歌はどこかで聞いたことがあるが、歌ったことはない。メロディがおぼつかない。

そこへ入ってきた長島功さんに助けを求める。だいたいのメロディを教えてもらったが、一箇所、彼自身も自信がないところがあり、やはりみんなで歌うには、誰もが知っている「ふるさと」にしたほうがよさそうだ。

調べているうちに、このオリジナルの歌詞を書いたのは The Joy of Sex の著者のアレクシス・カムフォートだと知って驚いた。

長島さんは明日の夜、長野市のビッグハットへ 浜田省吾のコンサートへ小学一年生の息子を連れて聞きにいくとのこと。七列目の席がとれたと喜んでいた。浜田省吾の最新アルバムの何曲かを聞かせてもらった。ビートルズ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、ジャクソン・ブラウンなどの固有名詞がちりばめられた歌があって驚いた。同じ時代を生きてきたのだ。


September 1, Thursday 2005

いよいよ9月。

前半英語教室。階下へ降りていくと、カウンターで初めてのお客さんがジャックダニエルズのロックを飲んでいた。娘さんの留学のことで相談を受ける。留学するなら若いときに、少なくとも一年、できたらそれ以上したほうがいい、というのがぼくの持論。但し、親でなく、本人の強い決意が不可欠。

ぼくのいない間に、中川五郎さんのコンサートのちらしをもってきた人がいた。「ほたる祭りライブ」にきてくれたHONZIさんも来るようである。

    中川五郎 with HONZI 愛にあふれた音楽夜話
   日時:2005年10月1日(土)午後7時30分開演
   場所:茅野市、カントリーキッチンくるみ
   チケット:前売り・予約2500円、当日3000円
   メール予約:ボンゴビート村上 bongokun@hotmail.com

ボブ鈴木からもファックスで秋の諏訪・茅野地方でのコンサートの案内が届いた。グッドニュースの木下さんからも先日、スケジュールが届いていた。大物のコンサートが目白押しである。9月23日有山じゅんじ at くるみ、10月13日木村充輝&三宅伸治 at セロニアス、10月29日岡林信康 at 茅野市民館、11月19日仲井戸麗市 at 茅野市民館、12月15日矢野顕子 at 茅野市民館。日はまだ決まってないようだが、ハイロウズもくるらしい。

オーリアッドでも10月15日(土)には、いとうたかおさんのコンサートがある。数日前には南正人さんから電話があった。彼の歌は大好きだが、日程的に難しかった。11月はぼく自身忙しい。


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