OREAD Diary February 1〜February 28, 2006



February 28, Tuesday 2006

2月最後の日。一年の六分の一が過ぎたことになる。この2ヶ月はジョニー・キャッシュの6枚のアルバムの翻訳に明け暮れた。おかげジョニー・キャッシュについて、また彼の歌について、前よりも知識が増えた。同時に彼の歌が以前より好きになった。

この翻訳および、歌詞の聞き取りを手伝ってくれたテキサスに住む友人から今朝メールが入った。写真が添付されていた。この写真は音楽雑誌「ビルボード」(1998年3月14日号)に彼が出した全面広告である。左上には、ナッシュビルの音楽業界とラジオ局に彼を支援してくれたことに対する感謝が述べられている。しかし、中指を突きたてた写真からもわかるように、実はこれは皮肉で、ナッシュビルのラジオ局がポップス化したカントリーばかり流し、年配のカントリーミュージシャンたちの曲を流さないことに対する抗議なのでである。老いても反骨精神は旺盛だった。

因みに写真は、1969年2月のサンクエンティン刑務所でのコンサートの最中、わがもの顔にステージに陣取っていたテレビクルーに対してキャッシュが「そこをどけ」と抗議したときのもの。

日本のラジオの現状はもっとひどい。おしゃべりが主で音楽は添え物。幸か不幸かぼくが住んでいるところは山の麓でラジオの受信状況が極めてわるい。ラジオを聞くのはほんのたまに車の中だけ。でも、延々と続く、音楽とは関係ないおしゃべりに、すぐ切ってしまうことが多い。


February 25, Saturday 2006

素晴らしい飛び入りライブになった。一番乗りはなんとジミー矢島さん。前回はあまり話ができなかったので、今夜は話がしたいと早目に出てきてくれたようである。おかげで、他の歌い手が集まってくるまで、ゆっくりとカウンターのところで小一時間話ができた。いただいた『裏町の月明かり』という彼のバンド「からまつ楽団」のCDを聞きながら。

今夜のトップバッターは、バンドでも演奏してもらうことにもなっている田中創さんにお願いする。ジミー矢島のリードギターで田中さんが歌うブルーズを聞いてみたかったので。最初の2曲 Drown in My Own Tears, Old Thames Side は彼一人で、3曲目 Sweet Home Chicagoでジミーがギターで加わる。田中さんの声(歌)とジミーのギターが見事に調和した素晴らしい演奏。盛大な拍手。



続いてジミー矢島さん、「さあ、おいで」「メロン」など3曲。なんとも暖かくて柔らかいギターと歌声。それにエスプリのきいた洒落た歌詞。

  一体いつになったら食べられるんだろう
  あの箱の中のメロン
  あの娘はまだ早いっていうけど
  もしもう遅かったらどうするんだろう

結局このメロンは食べられずじまい。彼の風貌といい、身体の揺すり方といい、レイ・チャールズを思わせる。




続いてボブ鈴木。「二人は」、Mojo Feeling, T Bone Shuffle の3曲。最後の2曲にはジミー矢島がギターで入る。ジミーが加わるとボブは、使い古された表現だが、まさに水を得た魚のよう。生き生きとのびのびと歌っている。それにしても矢島さんのギターは凄い。押し付けがましいところが一切ないのに、説得力がある。今夜はご自分のアンプ持参ということもあるだろうが、なんともいえないメローで暖かい音色。



赤羽真理さん。今夜はパーカッションの春日淳也さんと一緒に2曲。「千両梨の実」と「森の小道」。新曲は今週忙しくて、歌いこめなかったとのことで、歌ってもらえなかった。確かに新曲は安定するまでしばらく時間がかかることがある。



春日さんはそのままステージに残り、DRBのほかのメンバーがステージに上る。正直なところ彼らが演奏を始めるまで不安だった。本来3人のバンドに急遽2人が加わり、5人編成になったとのことだったので。その心配は、演奏が始まるやいなや杞憂であることがわかった。一曲目、新たに加わったメンバーの一人伊藤貴司さんが What's So Funny about Peace, Love and Understanding?を歌う。続いて、田中さんが Like a Rolling Stone, I Shall Be Released, Mojo Working の3曲。即席バンドとは思えないほどに息があっている。1、2番テーブルに陣取ったおじさんたちから歓声があがる。「おじさん殺しの選曲だ」という声が聞こえてきた。メインのメンバー3人がまだ20代だということが信じがたい。



つづいて、飯田からきたという若い女性2人に歌ってもらうことに。名前は確か、まゆさんとなみさん。アカペラで「クラシック」。バンドのあとだったのでちょっと歌いづらかったかもしれないが、きれいな声。彼女たちのあと、同じテーブルの大月高志さんと栗林秀和さんが「誕生」を歌う。栗林さんの歌声は久しぶりに聞いた。先週も大月さんがこの歌を歌ったが、歌詞もメロディもとてもいい。



休憩なしの後半。ジミー矢島がまず一人で「飲んだらダメだね」。そのあと、ボブ鈴木がジミーをバックに、「川を下って」を含む2曲。それで今日の飛び入りライブ終了、と思っていたら、「川を下って」の途中に、何週間か前にスイミングジムの更衣室で会ったデレクとガールフレンドのシャノンが入ってきた。カナダのパブの飛び入りライブ(Open Mike)は、9時ごろから始まり1時2時まで続くとのこと。



せっかく来てくれたのに演奏が聞けないのはかわいそうと、ボブとジミーにもう一曲お願いする。Bye Bye Baby。デレクもシャノンも熱心に聞いている。演奏が終ったあとデレクが The guitarist, he is a ripper. という。意味が分らないでいると、ripper というのはスラングで、「すごい、すばらしい、ダントツ」という意味だと教えてくれた。彼が更衣室でスプリングスティーンはあまり好きではないが、ディランは大好きだと言ったのを思い出した。そこで、田中創さんに一曲ディランをお願いする。Forever Young。素晴らしかった。ブルーズではないジミーのリードギターも味がある。これで本日の演奏終了。藤原和義さんが急用で参加できなくなったことを除いて、今夜は本当にすばらしい飛び入りライブになった。



その後しばし歓談。今日は歌い手もお客さんも多く、ぼくが歌う余裕はまったくなかった。閉店間際になって、今夜初めてきたお客さんから、ぼくが歌うのを待っていたと言われ、急遽「千の風」と「テネシー・ワルツ」を歌う。


February 24, Friday 2006

終日翻訳。ジョニーとジューンがデュエットで歌うときの人称代名詞をどう訳すか苦労している。同じフレーズを別々に歌うとき、俺と訳すかぼくと訳すか、はたまた私と訳すべきか。あなた、おまえ、あんた、君、のどれを選ぶべきか。掛け合いで歌っていて、最後に同時に歌うときは更に困る。その点、英語は I と you だけでいい。同じ悩みを『ライジング』を訳しているときも経験した。夫を亡くした女性が歌っているのか、妻を亡くした夫が歌っているか特定できない場合があった。締め切りは目前。急がねば。

閉店前、歌詞を見ないで歌うことができるように、何曲か練習。昔の短い歌は歌詞をみないで歌えるが、辰野に戻ってから書いた長いバラッドは、歌詞を見ないで歌うのはなかなか難しい。

明日は飛び入りライブ。楽しみだ。



February 23, Thursday 2006

前半、英語教室。後半、階下へ降りて行くとブルーズシンガーの田中創さんがカウンターに。会社の帰りだという。しばらくジョニー・キャッシュの話題で盛り上がる。At San Quentin の中の何曲かを聞く。San Quentin, I Walk the Line, Boy Named Sue, Ring of Fire,  Folsom Prison Blues など。ほんとうにこのアルバムは凄い。

彼によれば映画『ウオーク・ザ・ライン/君につづく道』は諏訪で上映されているとのこと。仕事が一段落したら見に行きたいもの。

今度の飛び入りライブは盛況が予想される。彼がヴォーカルとギターで参加するバンドDRBは新メンバーも加えて5人編成とのこと。

*調べてみたら諏訪市のシネマレークで上映中。詳しくは


February 22, Wednesday 2006

ボブ鈴木よりファックスがあり、25日(土)の飛び入りライブには、ジミー矢島ともども参加したいとのこと。大雪が降らなければとのことだが、大丈夫だろう。スリーピー中村、パンジャ山田にも声をかけるとのこと。もし全員そろえば、期せずしてブルーズナイトになること請け合い。楽しみだ。

暮から始まった翻訳の仕事も最終段階を迎えている。現在最後のジョニー・キャッシュとジューン・カーター・キャッシュの『デュエット』を訳している。そのライナーノートによれば、2004年の秋にナッシュビル近郊のヘンダーソンにある「ハウス・オブ・キャッシュ」で、数百本の録音テープが発見されたとのこと。これらのテープを中心に、ジョニーとジューンがデュエットしている16曲を選んで構成したのがこのアルバム。その最後の曲 It Takes One to Know Me の作者はカーリーン・カーター。ジューンとジューンの最初の夫、50年代のカントリースター、カール・スミスとの間に生まれた娘である。この歌が素晴らしい。

この歌のテープはジョニーとジューンのギターと歌にストリングスがかぶさっているだけのテイクだったが、彼らの一人息子ジョン・カーター・キャッシュがプロデュースを引き受け、彼と妻のローラがバックボーカルで入り、作者のカーリーンもヴォーカルで参加してマスターテープを完成したとのこと。

早く『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を見たいものだ。どこか近くの映画館でやっているだろうか。


February 18, Saturday 2006

トップバッターは藤森和弘さん。珍しいことに今日は一曲目「酒と泪と男と女」から入った。最近車の中のCDプレイヤーには河島英五のCDが入っているとか。続いて「愛はかげろう」「恋しくて」「秋桜」と、いつもとはやや異なる選曲。



藤原和義さんも、今日は一曲目は意表をついて「上を向いて歩こう」。以前に藤森さんがこの歌を歌ったときにコードを教えてもらったとか。続いて「貝殻節」「ドン河のバラッド」「暗い夜」。最後2曲はロシアの曲に藤原さんがことばをつけたもの。藤原さんにはロシア(民謡)の雰囲気がよく似合う。



続いて赤羽真理さん。完成した「旅人の木」と「千両梨の実」。新曲は赤羽さんらしい淡々とした歌い方の佳曲である。ただ、ちょうど彼がこの歌を歌っているときオーダーで忙しく、言葉をしっかり聞くことができなかった。次回はしっかり聞いてみたい。

  

春日淳也さん。Sweet Virginia, Little Baby, Spider and Flyの3曲。オーリアッドでストーンズの歌を歌ったのは彼が初めてかも。最後の2曲はブルーズ。来週はバンド(DRB)のパーカッショニストとして参加予定。



次に、大月高志さん。先ず、ピアノ弾き語りで自らの作曲による「香月!」の名曲「誕生」を歌う。ピアノとギターは以前から抜群に上手いと思っていたが、今日は歌も素晴らしかった。続いて「パッヘルベルのカノン」。先週は親友の披露宴でこの曲を含み、たくさんピアノを弾いたとのこと。



ここでぼくが、一番テーブルにすわっている自然農法家の黒岩さんのために「新しい光迎えよう」「王城山に黄色い月がのぼり」を歌う。黒岩さんは一年前の2月18日、初めてオーリアッドに来たときも一番テーブルにすわっていた。3曲目の「千の風」は、カウンターにすわっている Y さんのために。



最後に、藤森さんと藤原さんにセカンドラウンドをお願いする。藤森さんは一曲目、大月さんにピアノを頼み、一緒に「Close Your Eyes」。よかった。続いてソロで「時代遅れ」。英五君がリリースされる直前のこの歌を、オーリアッドのステージでピアノの弾き語りで歌ったことを思い出す。もう何年前になることか。藤原さんは「淋しいアコーディオン弾き」「かもめ」「この想い」の3曲。「かもめ」を歌う前の彼のふるさとの話が印象的。

 

その後しばし歓談。藤原さんのレコーディングはいよいよ数日後。まず最初は藤原さんの歌とギターと、もう一本のギターかピアノだけで録音し、あとからバイオリンなどの音を加えるとのこと。どんな音になるか楽しみ。来週土曜日には詳しい話が聞けるだろう。藤原和義CD『カントリー・ワルツ』発売記念コンサートは4月8日(土)に行う予定。


Feberuary 17, Friday 2006

今日も7時過ぎオーリアッドへ。中に入ると大工哲弘さんの『蓬莱行』がかかっていた。彼の歌はいつ聞いても、心がなごむ。喉から搾り出すような高音の歌い方が魅力的。

ウイークデイにしては忙しい日。やはり金曜日。

夜は、数日前の暖かさがウソのように冷え込んだ。家に戻り、玄関先の温度計を見たら−6℃。



February 16, Thursday 2006

一日中、雨。7時過ぎまで家で仕事。といっても翻訳ではなく、音楽を mp3 file で送る作業に没頭した。コンピュータの知識が乏しいものだから、半日間、試行錯誤を繰り返し、なんとか送れるようになった。その間にコンピュータがスタックしたり、すでにある有料ソフトをさらにお金を払ってインストールしたり、いやはや大変だった。

その後、オーリアッドへ。前半英語教室。後半、オーリアッド。静かな夜。

60年代前半のフォークソングのアンソロジーを聞く。トム・パクストンのオリジナルの The Last Thing on My Mind が入っていた。パクストンの初期のアルバムはぼくが知る限りそのままでは復刻されていなくて、ぼくがもっている彼のCDには、彼が年を取ってから歌いなおしたこの歌が入っている。

閉店間際、「王城山に黄色い月がのぼり」「新しい光迎えよう」の練習。前者はCDではキーEで歌っているが、一音下げてDで歌ってみた。このほうがいいかもしれない。

11時過ぎ外に出ると、まだ細かい雨が降り続けていた。

*今から7,8年前だったと思う、パクストンのCDを探したときは復刻版が出ていなかった。改めてAmazonで調べてみたら、2枚のLPがリマスターされて、1枚のCDで復刻されていた。早速購入しようと思う。


February 15, Wednesday 2006

暖かい一日。昼過ぎには20度近くあった。

「啓蟄です」といって、自然農法家の黒岩さんが入ってきた。本当に啓蟄と言ってもいいくらいの暖かさ。

黒岩さんによると昨年の2月18日に初めてオーリアッドに来たとのこと。ぼくもそのときのことはよく覚えている。変わった人が一番テーブルの隅にすわって本を読んでいた。こんな風変わりな格好をした人は唄うたいだろうと思ったが、そうではなかった。その後彼はよくオーリアッドへ来てくれるようになった。ぼくも彼の農場を何度か訪問した。意気投合したのは、彼のライフスタイルに共感するところがあったからだろう。

今度の土曜日で、彼が初めてオーリアッドにきてからちょうど一年ということになる。その日は是非「王城山に黄色い月がのぼり」「新しい光迎えよう」を歌ってほしいとリクエストされた。「王城山に黄色い月がのぼり」は最近歌ってない。練習しなければ。

今晩は久しぶりに西岡恭蔵さんの『ディランにて』を聞く。「サーカスにはピエロが」「プカプカ」、名曲である。

11時過ぎ、外に出ると地面が濡れている。細かい雨が降っていた。春雨。



February 11, Saturday 2006

STILLをフィーチャーした飛び入りライブデイ。6時、STILLのメンバー到着。セッティングと入念なサウンドチェック。彼らの友人やファンなどもその後続々到着。

ぼくが最初に「テネシー・ワルツ」「こおろぎが歌うように」を歌ったあと、トップバッターにアイリッシュハープの甕綾子さんにお願いする。安藤則男さんのギターが入る。 Farewell to Whiskey, The Orange Rogue, I Lost My Love の3曲。心地よいアイリッシュハープの響き。




続いて登場は、ドクターふあ。今日は詩の朗読から入った。「手品」「指切り」などの短い詩のあと、長編「足でです」。ふあさんは日ごろ秋山基夫さんを尊敬するといっているが、この長編詩は秋山さんの詩風を彷彿させる。諧謔、駄洒落、ことば遊びが随所に織り込まれている。最後に新曲「ぼくはぶつぶつ言う」。ある自閉症の子供のことばをふあさんが整理して曲をつけたものだという。最近ふあさんは、本職と関係する歌を書き始めている。新しい分野を切り拓くかも。

 

続いて登場は、藤原和義さん。「シェナンドー」「テネシー・ワルツ」「日本のみなさんへ」。新アルバムのレコーディングのための練習のしすぎか、単に風邪を引いているのか、声を出すのがしんどそう。しかし、それが鬼気迫る迫力を醸し出し、聞くものを圧倒する。「シェナンドー」のハーモニカもよかった。3曲目「日本のみなさんへ」を聞くのは2度目。1973年、クーデターで殺されたチリのアジェンデ大統領の娘の手記に曲をつけたもの。新しいCDにも入れるとのこと。この歌がアルバムの、いい意味での、ひとつの重石になることは確かだ。



ここでいよいよ本日のメインフィーチャー STILL 登場。ボーカル、ギター安藤則男、ベース伊藤亨、パーカッション武智智史の3人。ほぼ一時間の演奏。前半は、ぼくの音楽的知識ではどう記述していいかわからないが、ギター、ベース、種々のパーカッションのリズムの掛け合いによる、組曲風前衛音楽。ジャズのようでもあるし、喜多郎風ニューエイジ音楽のようでもある。後半、彼らのファースト・アルバムにも収められている「雨と風」、それにディランの I Pity the Poor Immigrant などの歌が歌われた。安藤さんが弾くクラシックギターは彼らのアルバムのレコーディングに使われた内田ギター製のものとか。会場には製作者の内田さんもお見えになっていた。



STILL の演奏のあと、安藤さんがふあさんを呼びいれ、STILL をバックにふあさんが、新曲「ドシンとブカンとドボン」と I Shall Be Released を日本語(ふあ訳)で歌う。ふあさんが気持ちよさそうに歌っていたのと、安藤さんのエレキギターの音色が印象的。下の写真(中)の武智さんは東京で活躍するパーカッショニストとのこと。最近中国のテレビに出演したとか。



ふあさんの2度目登場で後半がすでに始まっていたので、前半と後半の間の休憩なしで、赤羽真理さんにお願いする。「千両梨の実」。完成した新曲は来週聞かせてもらえそう。続いて甕さん。アイリッシュハープのみの演奏で、Bridget Cruise と South Wind。2曲目「南風」は原曲は韓国の「故郷の春」。ギターとのアンサンブルもいいが、ハープのみだと繊細な音まで確実に聞こえてくる。最後に藤原さん「この想い」と「バラライカ」の2曲。



その後しばし歓談。藤原さんが今日歌った5曲はすべてCDに入る予定。レコーディングは21日22日東京で行われる。最初波田町で行われると聞いていたのでちょっと覗いてみようかと思っていたが、東京となると難しい。


February 10, Friday 2006

今朝は本当に寒かった。朝7時半、玄関先の温度計が−10℃あった。よく晴れた朝は、いわゆる放射冷却現象で気温が下がる。日中は、気温は低かったが、「抜けるような」という形容詞がぴったりの青空。ときどき息抜きに、庭に出て見上げた。

夕方、スイミングへ。400メートル歩いたり泳いだり。その後オーリアッド。先週土曜日みんなで歌った Turn Around を練習しているところへ小野のランバージャック、中村さん。今日は木を切る仕事が入っていたが、先方の都合でキャンセルになったと喜んでいた。「こんな寒い日に木に上りたくないよ」。

ジョニー・キャッシュの歌に「ランバージャック」という木こりの歌がある。歌詞の中に、「風の強い日には木を切るな/湿度が低いときは森に近づくな」と、先輩の木こりが若い木こりに忠告するところがある。その話を中村さんにすると、風が吹いて、下では少ししか揺れなくても、木のてっぺんではもの凄く揺れるとのこと。湿度の低いときに森に行くなというのは、山火事でも心配しているのだろうか。

先週土曜日の飛び入りライブのあと、伊藤貴司さんから「アースデイピクニックINA2006」のホームページのURLを教えてもらった。何度アクセスしようとしても、URLが間違っているのか、開かない。彼らのホームページを見てもらうのが一番いいと思うが、いずれ正しいURLを教えてもらうとして、そのイベントのことについて少し記しておく。

   
アースデイピクニックINA2006
   
期日:2006年5月14日(日)
    会場:伊那スキーリゾート
    主催:アースデイピクニックINA・2006実行委員会
    内容:音楽ライブ、フリーマーケット、環境、農業、教育、国際
     支援等に関する活動の発表、行政情報提供コーナー、子供
     向けイベント、ゲームコーナー、etc.


実行委員会ではライブ等の参加者を募っている。希望者はメールで連絡してほしいとのこと。earthday@inacatv.ne.jp


February 9, Thursday 2006

一日中、校正と新しい翻訳の仕事。運動不足解消のため、夕方スイミングに行こうと思ったが、電話での校正作業が手間取り断念。

前半英語教室。後半オーリアッド。9時15分階下へ降りていくと、すでにジブラーンの会の方々は帰ったあと。

4月から月に一度、歌声喫茶をしたいというグループの方々も数人来ていたようだ。

今日は昨日よりもずっと寒い。そのせいか、少し寒気がする。それだけでなく、身体がかなりだるい。鼻水も出る。風邪でなければいいが。今風邪を引いている余裕がない。

今晩は早く寝るとしよう。



February 8, Wednesday 2006

土曜日以来のオーリアッド。立春を過ぎて、冬に逆戻り。寒い一日。エアコンと灯油ストーブの両方を強に設定しても、なかなか暖まらない。

  網戸がバタンとしまり
  メアリーのドレスが揺れる
  彼女は妖精の如く踊りながらポーチを横切る
  ラジオから聞こえてくる
  ロイ・オービソンが歌う孤独な者たちへの歌

スプリングスティーンの名曲「サンダーロード」の冒頭の5行。今晩は先ずロイ・オービソンの A Black & White Night というライブ盤をCDプレーヤーに入れる。プレイのボタンを押すと、拍手喝采、そして、ロイのなめらかで艶のある歌声が聞こえてくる―ダン・ダン・ダン・ダーンディワー。名曲「オンリー・ザ・ロンリー」。

ぼくは彼の歌を好んで聞いたことはないが、アメリカの多くのミュージシャンが彼を熱狂的に評価している。エルヴィスがロイの歌のうまさを絶賛しているのを読んだことがある。ディランやハリソンやトム・ペティらとともに Traveling Wiburysという匿名バンドにも参加していた。JDサウザーの「ユー・アー・オンリー・ロンリー」も、もちろん、「オンリー・ザ・ロンリー」が下敷になっている。

全17曲、最後の「オー、プリティ・ウーマン」が拍手喝采とともに終ったとき、なんともいえぬ懐かしい気分になった。古きよき時代のアメリカのサウンド。そして歌詞。ぼくの経験に即して言えば、サンタバーバラではなくサンタローザだ。

オービソンの息子が書いたライナーを訳し始めたところへ、お客さん。冬眠中の自然農法家のK氏。今年になって土曜日には何度か聞きにきてくれていたが、ウイークデイでは初めて。開口一番「灰皿をお願いします」。土曜日にきてもタバコを我慢していたが、とうとうギブアップ。それでも一日二箱が一箱になったとか。

久しぶりに彼のピアノを聞かせてもらった。なんと「テネシー・ワルツ」!なめらかな指使い。冬眠中、しっかり練習したようだ。それにしても藤原和義さんの「テネシー・ワルツ」の波紋が広がっている。ぼくも歌い始めたし、黒岩さんもピアノで弾き始めた。

『サンクエンティンのジョニー・キャッシュ』の中から数曲聞き、しばらく黒岩さんとジョニー・キャッシュ談義。ジョニー・キャッシュはいい。近々公開される『ウオーク・ザ・ライン ― 君につづく道』は是非見たいものだ。

11時過ぎ、外に出て驚いた、一面真っ白。かなり積もっている。明日の朝こなくてもいいように、しばらく雪かき。


February 4, Saturday 2006

トップバッターは伊藤貴司さん。午後は、伊那と木曽を結ぶ権兵衛トンネル開通の記念行事に参加してきたとのこと。今晩は英語の歌を4曲。Heart with No Companion, Halleluja, One, Redemption Song。最初の2曲はレナード・コーエン。そしてU2、ボブ・マーリーの曲。歌詞を見ずに全部歌ったのには恐れ入った。



赤羽真理さん。いよいよ新曲登場。まだ未完成ながら、「旅人の木」というタイトルからして赤羽さんらしい佳曲。次に「神様へのインタビュー」。これは長い詩の朗読。現代の世相について、人間関係について、いろいろ考えさせられる内容。最後に「千両梨の実」。

 

藤原和義さん。いつも前半は珍しい曲を歌うが、今夜も最初の2曲は初めて聞いた。1曲目は自作の「ゴミ清掃車の歌」。ギターも藤原さんには珍しくラグタイム風。2曲目は浜口庫之助の作だという。「みんな夢の中」。ぼくも浜口氏の歌は子供の頃から好きだった。特に守屋浩が歌った歌が。3曲目は名曲「カントリー・ワルツ」。



藤森和弘さん。今日の前半は松山千春でまとめ、「ふるさと」「恋」「大空と大地の中で」の3曲。最後の曲は昨年よく選挙キャンペーンで耳にした。最初の曲は、あきらかに Green, Green Grass of Home に影響を受けている。メロディといい歌詞といい。そう思ったのは、たまたま一昨日、ジョニー・キャッシュが歌うこの歌を訳したばかりなので。



前半最後は、ぼくが伊藤さんに触発されて、Bird on the Wire と「電線の上の一羽の鳥のように」。伊藤さんが歌ったコーエンの2曲は Various Positions というアルバムに入っている。残念ながら、このアルバムの対訳はぼくではない。このアルバムには Dance Me to the End of Love という素晴らしい歌も入っている。ここで10分間休憩。



後半のトップバッターを、前半遅くにドラムのスネアを抱えて入ってきた春日淳也さんにお願いしようとすると、今日はスネアをたたくだけにしたいとのこと。急遽、伊藤さんのバックでたたいてもらうことに。Wild Night, I Believe in You, What's So Funny About?の3曲。1曲目のヴァン・モリソンの曲が軽快でスネアの音が心地よい。続いて藤森さん、「勇次」「俺の太陽」の2曲。春日さんのスネアが入ることによって、藤森さんのギターと声がさらに引き立つ。赤羽さんは一人で「今旅立ちのとき」「人生の嵐に」の2曲。  



藤原さん、春日さんと一緒に、「千の風」「この想い」「テネシーワルツ」。藤原さんが歌う「千の風」は何度か聞いたが、今夜一番説得力があった。特に後半、ぼくのメロディとはかけ離れて自由に歌ったところ。

最後に、以前から考えていたフーテナニー風のことをしたいと、客席のみなさん全員に歌詞カードを配り、Amazing Grace, We Shall Overcome, Turn Around, Over and Over の4曲を歌う。藤原さんにはギターでサポートをお願いする。できるだけ歌いやすい短い歌を選んだつもりだが、終ったあと、英語の歌ばかりでなく日本語の歌があってもよかったという声があり、今後、どんな形でこのコーナーを行うか、選曲をどうするか、検討したいと思っている。藤原さんは Over and Over が気に入ったようだ。




その後しばし歓談。伊藤さんと春日さんは初対面ながら、土曜日朝のピーター・バラカン氏のラジオ番組をお互い聞いている仲ということが判明。伊藤さんは「伊那の春日さんという人がよくリクエストのハガキを出しているが、どんな人だろうと思っていた。今晩スネアをたたいた人がその春日さんとは」と驚いていた。二人とも洋楽に詳しい。

藤原さんのジョニー・キャッシュ・モデルのマーチンに触らせてもらう。もの凄くいい音である。彼も最近はこのギターが気に入って、家でも弾くのはこのギターだけだとか。おそるおそる値段を聞いてみる。驚いた。ぼくの Takamine が15台買えて、さらにおつりがくる。うーむ。

来週は安藤則男さんのバンド STILL がフルメンバーで初登場。



February 3, Friday 2006

節分。明日は立春。いよいよ春だ。とはいえ、今日は寒かった。どうしても今日中にすませてしまいたい翻訳があり、それをすませて送ったあと、遅れてオーリアッドへ。

しばらくして藤原和義さんが入ってくる。CDのチラシ用の写真がほしいとのことで、何枚かプリントアウトしてもってきていたものをお渡しする。アルバムジャケットは、写真をもとに、藤原さんの高校時代の同級生、安彦良和さんが絵を描いてくれることになっているとのこと。その方面に疎いものだから、藤原さんが「やすひこ、やすひこ」と気安く呼ぶ名前が、姓なのか名なのか今晩まで定かでなかったが、機動戦士ガンダムで著名なクリエイターとのこと。機動戦士ガンダムというのはぼくも聞いたことがある。

その後しばらく藤原さんからギターを教わる。Cdimなんていうコードは初めて押さえた。まだまだぎこちないが、少しでも上手に弾けるようになりたいもの。


February 2, Thursday 2006

終日、翻訳、校正。しばらく前、役場から「労働力調査」なるものがきた。今日取りに来るとのことで、家人が記入をしたが、ぼくの労働時間は現在かなり多いらしい。オーリアッドも含めればほとんど一日中働いていることになる。少なくとも12時間は働いているらしい。「えっ、そんなになるの!」と思わず驚いてしまった。というのは、翻訳をしていてもオーリアッドにいても、働いていると思ったことがないからである。こんなに楽しいことを労働と呼んでいいものか。

今夜は英語教室はお休み。6時からオーリアッドへ。店番をしながら、At Folsom Prison の訳。ジョニー・キャッシュがこのアルバムのために書いた新旧のライナーを訳したり、彼と囚人たちのやりとりを聞きながら、彼の偉大さを思った。なぜか、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」ということばが脳裏をよぎった。

コーヒーを飲みにきて下さったお客さんに頼まれ、歌うことに。たまたま歌詞が譜面台にのっていたので、 Bird on the Wire を歌う。歌い終わったあと、かいつまんで日本語に訳すと、「いい言葉ですね」という。そこで「電線の上の一羽の鳥のように」を聞いてもらう。ぼくの3枚目のアルバム『ポジティブリー寺町通り』に入っている歌。

  どこまで歩きつづけても追いかけてくるよ
  あのレナード・コーエンの淋しい歌声が
  俺も電線の上の一羽の鳥のように
  俺なりのやり方で自由になろうとしたのだ

遅くなって藤原和義さんより電話。レコーディングの準備は着々と進んでいるようである。



February 1, Wednesday 2006

うわっ、もう2月だ。夢中になって翻訳の仕事をしているうちに、あっという間に一ヶ月が経ってしまった。仕事のほうはもう少し。がんばろう。

今日は朝から雨。夕方から雪になったが、ありがたいことに、今は止んでいる。

ウイークデイとしては比較的忙しい日。タコスがよく出た。オーリアッド特製レアチーズケーキも。

久々に『蓬莱行』のdisc one を聞く。一曲目の「ハートランド」はいつ聞いてもいい。「お富さん」がかかっているところへ、「珍しいものを聞いてますね」とMさんが入ってくる。彼とは幼馴染。この歌が流行った頃は、町内を一緒に走り回って遊んだもの。ひとしきり、当時の話題に。現在オーリアッドのあるところ、つまりぼくが当時住んでいたところは、辰野町宮木東町三丁目。その頃の生活はまさに映画『Always 三丁目の夕日』に描かれているような生活だった。

正直なところ映画にはそれほど感銘を受けなかったが、あの時代を人々が懐かしむ気持ちはわかる。ぼくの中にもその気持ちは大いにある。それはあの時代だから懐かしいのか、あるいは、誰でも人はある一定の年齢になれば、子供の頃の生活を懐かしく感じるようになるのか。今の小学生がぼくの年になったとき、やはり今の時代、混乱の極みにある今の時代を、懐かしく思い出すだろうか。



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